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ラットの飼育方法

Cute white pet rat portrait with black b

【生態】

本来は夜行性だが、ペットとして飼育されているものは日中でも起きていることもある。基本的に群れで暮らし、成獣の雄同士であっても、幼獣と成獣であっても、異性であっても、どんなパターンでも仲良く暮らすことができる。ただし、これはshippobank育ちのラットに関して言えることであり、餌用などの目的で代々育てられてきた個体群には一概に言い切ることができないおそれもある。shippobank育ちのラットであっても長く一匹で飼育していると、性別に関係なく他のラットと仲良くできなくなってしまうものもいる。できるだけ最初から複数で飼育したい。雄同士は大概終生問題がないが、雌同士は突然揉めて怪我をするほどいじめられることもある。これは同腹だろうがなんだろうが関係ない。兄弟姉妹だから、年齢が近いからといって仲良くできるというのは情報としての出所の信憑性に欠く。

また、幼いうちから飼育を始めなくても、ラットは十分よくなつく。母親や兄弟との暮らしが短い動物は落ち着きがなかったり、問題行動をおこすものも多い。ペットショップで離乳もすんでいない犬猫が販売されていることが多いが、ある程度親元で過ごしてから新しい飼い主の家に行く犬猫よりも問題行動が多くなるとこが指摘されている。
ラットでも幼児誘拐のような飼育はできるだけ控えられ、ちゃんと落ち着く月齢になったものを飼育することが望ましい。
また、一匹よりも複数で飼育した方が安心感と落ち着きがでて、より飼育がしやすくなるように思える。雄と雌の性格は性的二形を示し、雄はおおらかで遊び好きで人にもよくなつき、雌は神経質で雄のようななつきかたをするものは多くない。
ペットとして考えた場合に、性格的に雄の方がおすすめできるものの、臭いが雌よりも強い点、及び寿命が雌よりも短い傾向にあることが雄のデメリットでもある。

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【ケージ】
ラットの飼育を幼獣の時期から始めるのであればケージは二つは用意するつもりでいるとよい。
生後三~四ヶ月ほどになるとウサギやモルモット用のケージで飼育できるサイズまで育つが、網目が荒いのでこれが通り抜けられるような体格の幼獣はこれでは飼育できない。
幼いうちはハムスターケージなどを利用し、成長した段階で大きいものに変更するとよい。

衣装ケースを改造したものも便利だが、かじりはじめるとあっという間に脱出可能なサイズの穴を開けることがある。事前に金属ネット等を利用してかじられない対策を施す必要がある。もっとも金網のケージといえどもラットが本気でかじりはじめたら穴が開く。普段からケージは点検し、いざというときには別に入れられるケージを用意しておくとよい。水槽に金網の蓋をしたものでもよいが、力が強いので重石くらいでは本気を出したラットの前には無力である。
幼いうちならばともかく、終生飼育するのであればプラスチックケースは難しい。蓋に穴を開けることがたやすく、ケージからの脱走をしようと思えばすぐにできるからである。

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【餌】
本来草食性の強い雑食だが、幼獣や妊娠授乳中の雌は動物性タンパク質を心がけて与えた方が成長によい。
実験動物用のペレットは餌としての選択肢のひとつだが、それだけだと貧弱な体(脂肪ばかりついて骨格に似合わずぶくぶく太ることを含む)になってしまうものもいる。
骨と脂肪のバランスのとれた体を作るためにはハムスターフードのみや実験動物用ペレットのみの飼育では足りないが、間違った餌を与えるよりは、ラット用のフードが手に入らなければそれらを与えるのも仕方のないことかと思われる。海外からの高価なラット専用フードや、国産の専用ペレットもあるが、実際に飼育するに辺り、そのようなものの必要性を感じたことは残念ながらない。嗜好品として与えるのはよいが、安価で体重の管理もしやすく、栄養的にも行きすぎていない餌もあるので、
水は体のわりに相当量を飲むので、ボトルなどを利用して常に新鮮で綺麗な水が飲めるようにしておくことが大切。
老齢期にはいってからは、よりいっそう粗食でカロリーのそれほど高くないシード類などをメインで与えるようにすると、肥満になりずらく、成人病のような症状になりずらいように思われる。
ラットの飼育はマウスやハムスター以上に餌の内容をよく考えて飼育した方がよい。体格や疾病にと、餌がラットに与える影響がマウスやハムスターに比べて大きいように見受けられる。
回し車や室内での散歩などでは、本来のラットの運動要求量を満たすことなどできるわけもなく、気休め程度と考えてよい。肥満は食餌によるものが大きいので、与えるものの内容には留意したい。

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【世話】
餌と水を常に摂取できるようにしておくこと。
餌入れは中に排泄されることが多いので、濡れているようなら中身を捨てて洗ってから使うこと。
副食として野菜などを与えてもよい。
水はボトルに入れて与えるのがよいが、ボトルの口がつまることがあるので注意すること。
床には床材として紙などをひく。
うちでは紙の猫砂とウッドペレットを混ぜたものを使用しているが、新聞などでも構わない。
ウッドチップはアレルギーの原因になりがちなのでさけた方がよい。牧草は吸水性が乏しいので他の床材と組み合わせて使う。ペットシートはビニール部分があるので使用しない。
掃除はトイレとして使用しているところは多目に、それ以外の全体掃除も週に一度くらいはこころがけたい。
トイレを覚えるとされがちであるが、マウスほど一定の場所に決まらないものが多い。トイレのしつけも犬や猫のようにできるわけでもなければ、ハムスターやマウスほど決まるわけでもないので、もし一定の場所でしていて尚且それが飼い主がトイレとしてケージのなかにいれたものであれば、それは一芸のようなものと認識し、ラッキーと喜んでいただくとよろしいかと。
きれい好きな女子の方がトイレが定まる傾向にあるようだが、一概に全てをそれにあてはめるわけにもいかない。
ハウスを入れる場合は中でおしっこをする可能性を念頭にいれて選ぶこと。つまりは、木製のものなど洗うことのできないものは使い捨てと考えるべき。
むしろ、段ボールなどを入れて掃除のときにどんどん捨てていくような飼育方法のほうが手軽かもしれない。
布製品は死亡事故の原因となるので使ってはならない。ハンモックなどはもってのほか。綺麗だから、フカフカだから、この繊維ならほぐれても糸状にならないからといって布をケージに入れることが流行っている昨今であるが、それはネズミのみならずどんな小動物にとっても危険であり、人で言えばピアノ線を張り巡らせた中で生活しているようなものである。とにかく布はケージにいれない、近づけない。ケージの外からかけるのもNG。
回し車も事故の原因になりがちなのでおすすめできないが、見ている範囲内で使い、監視していないときは取り除くのであれば使っても構わない。
本来の運動量を補うものとして、回し車ごときではは上下運動もできず間に合うわけもない。
それに、その個体に見合った運動量はそもそも十人十色なはずである。
アマゾンの奥地の狩猟民俗も現代日本人も、同様にニンゲンであるが、必要運動量の前提が前者でないことを考えれば分かりやすいかと思う。
肥満は運動量ではなく、摂取している食べ物に起因する。

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【コミュニケーション】
ハムスターやマウスに比べて、ラットは圧倒的にスキンシップを好む。ラット同士でもよく遊ぶし、人と遊ぶのも同様に楽しむ。海外ではラットを「くすぐって」喜んでいる表情の研究があるほど、ラットは人に触られることを好む。
犬猫鳥以外で、好んで人に触られる動物は少なく、特に一般的にペットとして流通している小動物ではトップレベルのなつきっぷりである。
飼い主のこともよくわかり、知らない人に触られるのに抵抗を感じるタイプのラットもいる。日頃から世話をして、よく遊んでいる人が大好きである。
性格がさまざまなので、もとからなつっこいのもいれば、人に触られるなんてもってのほかと逃げるものもいる。ペットとしては手を出したときに逃げない、攻撃的な噛みつき方をしてこないものを選ぶとよい。
ちなみに、子供のうちから飼育しなくても、普段から触らなくても、元々の性格でよくなれている子はべったりとなつく。
持つときは体を持ってもよいし、尾をつかんでもよい。
ブラッシングや風呂は不要。毛質に関わらず不要。
爪切り、耳掃除なども不要。

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【繁殖】


生後三ヶ月ほどで繁殖可能になる。
繁殖させるなら雌は早めに子供を生ませた方がよく、逆に一年近くたった雌に初産をさせるのは避けたい。人でも高齢になってからの初産は問題が起きやすい。
子食いや共食いがラットではほとんどないが、出産育児は一匹のほうがよい。子供が踏まれたりといった事故も減り、また母親によっては神経質になるものもいるからである。生まれた子どもを親が育てない、もしくは育てきれないときは、他の同時期に生んだママに預けるのも難しくない。
複数で一緒に子育てすることもある。大概かいがいしい雌と、さぼりがちな雌にわかれる。
一度に10匹以上産むことがあり、後追い妊娠をすることもあるので繁殖はよく考えて行うことが望まれる。

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【病気】


心配なことがあれば獣医さん。まずこれが基本である。
ただ、我々も紙で指を切ったり、少々の頭痛が始まったところで、すぐさま医者にかかる人はまれであろう。ここにいくつか、ラットにおこりうるトラブルをあげてみる。獣医師によってはほぼ犬猫専門の方もおり、あらかじめ小動物に強い獣医師を探しておくとよい。shippobankではあらゆる動物を診ることのできる獣医師を紹介しているので、心配なことがあったらたずねていただきたい。
ラットにも猫や犬、鳥などから外部寄生虫がうつることがあり、獣医さんにいくと薬の処方がえられる。皮膚の異常は感染症が原因のこともある。
くしゃみをする場合は、床材のアレルギーが一番に疑われる。アレルギーで脱毛することもあり、床材を別のものにかえるのが対処法である。
また、湿度が高いと呼吸器症状が出やすい。
同時に香水、アロマオイル、お香、フレグランスソープ、柔軟剤などでもくしゃみが出ることがある。人と遊ぶときにくしゃみがひどくなるようならば、一度シャンプーやボディーソープなどを無香料のものにかえてみるのも手段である。
風邪のような症状のひとつとしてくしゃみがおこることもあり、獣医さんで薬がもらえる。
細菌などの感染による下痢をおこすこともある。こちらも獣医さんで薬がもらえる。
もっとも、一番多い下痢の原因は水分のとりすぎである。我々も誰しも一度は経験したことがあるばずだ。これは時間と共におさまるので、それほど気にする必要はない。

 

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【おまけ】

​よく耳にするありえない情報。間違った情報


ラット(に限らず多くの小動物で)情報はネットから仕入れている方が多いと思われる昨今。色々な情報が独り歩きして、それが真実であると誤解されているものも少なくない。私が色々なお客様から聞いて驚いた謎情報のいくつかをここにあげておこうとおもう。


飼育や情報に困ったら、せめて海外のサイトを参考にしてもらったほうがまだ間違いが少ない(それでも全てが正しいわけでない)。判断に困ることがあれば、shippobankまでお問い合わせいただきたい。

毛質や色、耳の形状で、○○がなつきやすい☓
確かに猫では「黒猫は集団生活に向くものが多い」「三毛猫は子育てが上手いものが多い」などと言われることがある。けれども、ラットの中では毛質、色、耳の形状で有意の差は認められない。
野生にも突然変異個体が見られるが、ノーマル個体との格別の差は認められない。
「ダンボレッキスがおとなしい」「ハスキーがなつきやすい」「目が赤いものは目が悪いので噛む」といったような話は一個人の経験上の話であり、実際に数千という数を見てきた中でそのようなことは特に感じない。どんな色でも、どんな毛質でも、どんな耳でも、人懐っこいものはなつくし、臆病なものは臆病だ。
ただ、近親交配を長く繰り返されてきた中から生まれてきた個体は、その血を外に分散してもなかなかすぐには穏やかな性格のものが生まれずらい傾向にあるようだ。例えば餌用として殖やされてきたアルビノや、世界的に近親交配が多かったブルーなどにいえる。ただしこれらも時間をかけて通常の交配をしていけば他のものと変わらない気質のものも生まれてくる。

ラットは水場を好む☓
元がドブネズミであったため、「下水に住んでいるから水が好き=風呂が好き」といった見解を耳にしたことがある。
ドブネズミが下水に暮らすのは利便性(餌、敵に脅かされずらく天候に左右されずらい住まい、地上へのアクセスが便利)からであり、決して水の中に入りたいからではない。
水に適した体を持つネズミもいる。ヌートリアだ。
そのような体や皮膚の構造でないラットをあえて水浴させることに、デメリットはあれどメリットはほとんどない。
ただし、薬品をかぶったり、粘着シートがはりついてしまった場合は急遽取り除かねばならないので、洗う以外ないこともある。

 

・スキニーを交配に使うと特別な事が起きる✗
体が大きい子が生まれるだとか、子供の数が多くなると言う話を聞いたことがあるが、単に異血が入ったことによる近親交配の弊害が薄まった抱けと思われる。うちではスキニーの交配を数多く経験しているが、他の毛のはえたラットと産子数や子供が成長してからの体重にこれといった有意な変化は見られない。

・幼いラットとマウスは見分けがつかない☓
なぜか幼いラットがマウスと見た目で区別がつかないといった情報がまことしやかに流れていたりする。ラットとマウスを見たことさえあれば、小学生でも問題なく判別つくレベル。これが見分けつかないというのはどういうことだろう?と謎を感じていたが、なにぶんにもアヒルやニワトリを連れていると「わんちゃんですか??」と道いく人に聞かれることが多々あるご時世。鳥と犬の区別がつかない日本人もいるのだから、ネズミの種類がわからなくてもしょうがないのかもしれない。もっとも、ネズミの種類もわからない人の書いたことがこれから飼育しようとしている人にも参考とされてしまうのは実におそろしい。

・兄弟姉妹は仲良くできる☓
なぜか「同時にうまれた姉妹なら一生仲良くできる」という謎な話を聞く。そんなわけはなく、むしろ雄同士のほうが平和なことが多いのがラットだ。
雌同士は気が合わないとひどく喧嘩をすることもある。兄弟姉妹だからといって仲良くできる訳がないのは人間もラットも、犬でも猫でもかわらない。要は、気が合うか合わないか、そこに尽きる

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